第13回ゆふいん文化・記録映画祭(2010)
上映作品一覧


 2010年5月28日(金)前夜祭
プログラムA

作品上映
18:30〜20:00
『祭りばやしが聞こえる』
  1975年/90分/ Video
  製作:RKB毎日放送
  ディレクター:木村栄文
数々のドキュメンタリー番組を製作し、芸術祭賞など多く受賞歴をもつ名TVディレクター木村栄文氏の代表作。祭りの裏に生きるテキ屋の実態とそれを取り巻く世界、厳しい稼業に生きる人々の実態に迫り、鋭く描き取った名作。 中国の伝説上の皇帝を守護神とする「神農道」を信仰し、テキ屋はヤクザや暴力団とは違う商売人だと胸を張る。独特の「たんか売り」の名調子も今となっては貴重な記録。 70年代の全国各地の祭りや縁日の賑わいの様子も懐かしい。

 2010年5月29日(土)
プログラムB

作品上映(2本)
10:30〜12:30

(昼食休憩)

作品上映(2本)
13:10〜15:10

シンポジウム
15:10〜16:30

【第3回松川賞】受賞作品 (4作品)

『お父さんとわたしの海〜面潜漁に生きる夫婦〜』
  47分/カラー/VIDEO
  (応募者)製作:静岡放送 報道制作局 土方康太郎
伊豆半島の東海岸、伊東市富戸(ふと)に昭和の初期に始まった「面潜漁(めんせんりょう)」を受け継ぐ一組の夫婦がいる。稲葉淳夫さん(66歳)、すみ枝さん(60歳)夫婦。ウェットスーツに潜水マスクをつけて潜る妻、船から酸素を送る夫、二人は一本のロープで結ばれている。危険と隣り合わせの面潜漁は二人の息があわないとできない、まさに「夫婦の絆」が命綱だ。過酷な伝統漁を必死で守る夫婦とそれを見守る家族の姿を愛情一杯に描いた。

九州国立博物館映像アーカイブス『大善寺玉垂宮の鬼夜』
  58分/カラー/VIDEO
  (応募者)製作・著作:福岡県立アジア文化交流センター
  制作:RKB映画社
毎年1月7日に福岡県久留米市の大善寺玉垂宮(だいぜんじたまたれぐう)で行なわれる「鬼夜(おによ)」。千数百年の歴史をもつこの祭りは大晦日から1月7日まで続く一連の祈願祭の満願の行事で、日本三大火祭りの一つとも称され、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。 町内の6つの地区で作られる全長13mの巨大な大松明を、総勢四百数十人の褌姿の氏子たちが、降りかかる火の粉をものともせずに勇猛果敢に担ぎ上げ境内を廻る様は荘厳華麗。その定められた役割や、手順、しきたりなどを克明に追いながら、悠久の伝統を紹介しつつ、興奮のるつぼと化す祭りの熱気と興奮を見事に映像化した。

『福祉番長!』
  47分/カラー/VIDEO
  (応募者)制作:東海テレビ放送 報道スポーツ局 阿武野勝彦
滋賀県大津市にある事業所型共同(働)作業所長の米澤大さん(31歳)は、元ヤンキー。体重百キロの巨漢。ダブルのダークスーツに、髪はリーゼント。その風貌は、「番長」そのものだ。東京の裕福な家庭で生まれたが、両親の離婚をきっかけに非行を繰り返す荒くれ者だったが、偶然の人との出会いをきっかけに一転して更正し、「福祉で日本一になりたい」と障害者8人が働く会社を立ち上げた。知的障害や精神障害などを抱える8人の従業員達を雇っての会社運営は決して楽ではないが、大らかで懐の深い愛情を注ぎ続ける米澤さんと明るくて個性豊かな社員たちの人間的な魅力が溢れている。愛と優しさに包まれた人間ドキュメンタリー。

『前事不忘 後事之師 〜731部隊元少年隊員の証言〜』
  59分/カラー/VIDEO
  (応募者)山岡央/ 制作:高柳美知子、保田行雄
日中戦争から第二次世界大戦にかけて旧満州(現中国)のハルピン市に存在した関東軍防疫給水本部・第731部隊。病原菌を兵器として利用する細菌兵器の開発・研究を任務とし、人間を実験材料として使用し虐殺したこの旧日本陸軍の秘密部隊に、14歳から17歳までの少年が全国から集められた。その一人だった篠塚良雄さんも15歳でこの731部隊に配属され四年間、在籍した。篠塚さんはいま86歳。長く勤めた職場を定年退職したことを契機に、自分の胸につかえていた記憶、自身が中国で行なった加害の事実を語り始めた。自らの意思に関らず従事したとはいえ、人としてしてはならない事に手を染めてしまった自分の過去を語る篠塚さんの堪え難い思い。「被害者の立場に立ってみなければ真実はわからない」と語る篠塚さんの言葉に、戦争は多くの無為の人々を被害者にすると同時に加害者にもさせてしまう事の意味をずっしりと問いかける。

シンポジウム・表彰
(ゲストコメンテーター)池内 了さん(宇宙物理学者)
            内山 節さん(哲学者)
            辻 信一さん(文化人類学者)
            関口裕子さん(「バラエティ・ジャパン」主宰)
                  ほか。
プログラムC

作品上映
17:10〜19:10

ゲストトーク
19:10〜20:20
『平成 熊あらし 〜異常出没を追う〜』
  2009年/61分/カラー/16mm
  製作:群像舎
  監督:岩崎雅典
  語り:柳生博
  撮影:明石太郎、田中希、加藤孝
全国各地でクマ被害が頻発している。どうしてクマは人里に現れるようになったのか。クマと人間、そして自然の関係のどこが狂い、何が起こっているのか。人里に出没するようになったツキノワグマを多面的に描き、狩猟文化、生態、保護活動など多面的に描いた。動物と人間の関係を通して日本列島の現在を広く深く考えさせられる作品。

『又鬼 マタギ』
  1982年/53分/カラー/16mm
  製作:群像舎
  監督:岩崎雅典
  音楽:三木稔
  撮影:明石太郎、沢田喬
東北地方の山間部に集落をつくり、狩猟を生業として来たマタギ。「平成熊あらし」の岩崎雅典監督が、30年以上前にそのふるさと秋田県阿仁地方に三年通い十数回狩りに同行して記録した。マタギの世界が実によくわかる。山の神への信仰、クマを捌く儀式、協働作業と分配の仕組み。山と、クマとの共存。その習俗の記録を通して系譜を探った貴重な映像。

ゲストトーク:岩崎雅典さん(監督)
       内山節さん(哲学者)・辻信一さん(文化人類学者)
 2010年5月30日(日)
プログラムD

作品上映
10:00〜11:20

ゲストトーク
11:20〜12:00

『アリサ・ヒトから人間への記録』
  1986年/78分/16mm/
  制作:青銅プロダクション
  監督・演出:山崎定人
  音楽:三木稔
  語り:河内桃子、山崎定人
  フィルム提供:九州共同映画社
アリサちゃんという女の子の2ヵ月から6歳11ヵ月までの7年間の成長を記録した映画。ヒトから人間への幼児の発達の様子を、巧みな構成で記録。1人の幼児の生活や行動をつぶさに追い、たくましく成長する人間のすばらしさを描いた。 また舞台となっている「さくら・さくらんぼ保育園」の保育指導方針や保育環境には学ぶところも多い。

ゲストトーク:さくらんぼ保育園関係者
プログラムE

作品上映
12:40〜13:45

ゲストトーク
13:45〜14:35

【科学映画特集】
『黒い太陽』
  1936年/19分/35mm(VIDEO上映)
  演出・撮影:三木茂、林田重雄
  製作:東京・大阪朝日新聞社
1936年6月北海道で観測された皆既日食を大望遠レンズと独自の光学装置で捉え、日食の全過程を記録。そして世界で初めて閃光スペクトルの同時録音撮影に成功。オホーツク海沿岸に世界中の望遠鏡と科学者が集まって太陽の謎に迫るというロマンと、その一大事に遭遇した村の様子、アイヌの人々の神事など臨場感あふれる映像は74年を経ても新鮮。

『X線天文学への道』
  1968年/21分/16mm(VIDEO上映)
  演出:矢部正男
  制作:田中清広、下村雅彦
  撮影:中山正昭
  製作:岩波映画製作所
  企画:文部省
強いX線を出す天体を調べる観測が天文学にとって当時全く新しい研究としてはじめられた。これにより望遠鏡による光学的観測で謎につつまれていたX線星の概要がつかめるようになった。X線望遠鏡の原理と、天文学の新しい分野について紹介する。

『電波でさぐる宇宙』
  1998年/VHS/25分
  企画:文部科学省国立天文台
  制作:(株)イメージサイエンス
巨大なパラボラでとらえられる宇宙からの微弱な電波の信号をとらえ、解読する天文学者たち。世界最高レベルの45m電波望遠鏡を持つ国立天文台野辺山宇宙電波観測所で未知の星間分子の正体を解明していく。

ゲストトーク:池内 了さん(宇宙物理学者)
プログラムF

作品上映
14:45〜16:55

ゲストトーク
16:55〜18:00

『沈黙を破る』
  2009年/130分/VIDEO
  監督・撮影・編集:土井敏邦
  制作:山上徹二郎
  編集:秦岳志
  通訳・コーディネーター:Imad Edin、井上文勝
  製作:シグロ
イスラエル軍によるヨルダン川西岸の侵攻作戦の中で起こった難民キャンプへの侵攻を記録したドキュメンタリー。2 週間にも及ぶイスラエル軍の包囲、破壊、殺戮にさらされるパレスチナの人々の生活を追う。 同じ頃、元イスラエル将兵の青年たちが「沈黙を破る」という名の写真展を開き、自らの加害行為を告白する。占領地で絶対的な権力を手にし、次第に人間性や倫理、道徳心を失い、“怪物”となっていった若者たち。 監督は、ジャーナリストとして20数年にわたりパレスチナ・イスラエルを取材してきた土井敏邦。数百時間にも及ぶ膨大な記録映像を、長編ドキュメンタリー映画として完成させた。 時に絶望的に見える抑圧をしたたかに生き抜くパレスチナの人びと、そして「沈黙を破る」若者へのインタビューは、「パレスチナ・イスラエル問題」という枠を越え、戦争とは何か、支配するとはどういうことか、人間の普遍的なテーマに重層的に迫る大力作。

ゲストトーク:土井 敏邦 監督
プログラムG

作品上映
 18:40〜20:10

『今西錦司 自然科学から自然学へ』
  2000年/49分/ポルケ・桜映画社
  監督・脚本・演出:松川八洲雄
  プロデューサー:村山英世
  企画:紀伊國屋書店
「好きな事をやらかすんや」そう言って人類学、生態学、カラコルム山脈の学術探検、アフリカへの類人猿調査…登山や探検に、ダイナミックな生涯を送った今西錦司(いまにし きんじ)。生態学者であり文化人類学者、サル学の開始により日本の霊長類研究の創始者としても知られる。 今西錦司という人物がいかにユニークで多くの友人や後輩に愛され、慕われていたかが手に取るようにわかる実に愉快な人物ドキュメンタリー。

『生きもの 金子兜太の世界』
  2009年/46分/ポルケ
  監督・脚本・演出:日向寺太郎
  撮影:住田望、落合智成
  ナレーション:奈良岡朋子
  企画:紀伊國屋書店
現代俳句という新しい領域を開き、日本の俳句文学発展に大きく寄与して来た金子兜太さん。90歳になった今も現役として、俳壇はもとより様々な分野で積極的に発言し続けている。 多くの人々を惹きつけてやまない人柄や言動、他を圧倒する生きていく力強さの秘密など、本人に存分に語らせ、描ききり、人間的な魅力に迫る。

ゲスト予定者

 ・ 池内了さん(宇宙物理学者)
 ・ 内山節さん(哲学者)
 ・ 辻信一さん(文化人類学者)
 ・ 関口裕子さん(「バラエティ・ジャパン」主宰)
 ・岩崎雅典さん(「平成 熊あらし」「又鬼」監督)
 ・土井敏邦さん(「沈黙を破る」監督)
 ・(さくらんぼ保育園関係者)
 ・まつかわゆま さん(シネマアナリスト)
 ・野村正昭さん(映画評論家)
 ・清水浩之さん(映画祭コーディネーター) ほか。


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