第17回ゆふいん文化・記録映画祭(2014) 
上映作品一覧

上映作品紹介リーフレット(クリック)

 2014年6月27日(金)前夜祭
プログラムA

作品上映
19:00〜20:30

『再起の一滴 〜陸前高田・老舗醤油店1000日の記録〜』
  2013年/30分/制作:岩手朝日テレビ
テ゛ィレクター:鹿野純之介/フ゜ロテ゛ューサー:佐々木貴
陸前高田の老舗醤油店「八木澤商店」。
震災で全てを突然失ったあの日から、雇用を守りながら醤油醸造を再開し、
初しぼりの醤油を出荷するまでの苦闘1000日の記録。


『むしろ麹 〜風の港のしょう油づくり〜』
  2006年/27分/製作:ヤマプランニング/監督:山口豊寧
江戸時代から港町として発展してきた東かがわ市引田に、
伝統的な醤油製造技術が伝承されている。
蒸した大豆といった小麦で麹をつくり、むしろに広げて育てる「むしろ麹製法」。
醤油醸造業の歴史的背景と自然と伝統の技でつくる独特の醸造技術をわかりやすく紹介する。


『杜氏たちの春 〜さつま本格焼酎をつくる〜』
  1978年/29分/製作:岩波映画製作所/
  企画:薩摩酒造/脚本・監督:諏訪淳/撮影:西尾清
焼酎のルーツを探り、歴史を見ながら古式と現在の造りが、鹿児島の風土の中で展開される。
それぞれの蔵元に焼酎造りに出た杜氏と蔵人たちが、
造った焼酎を土産に自分の村に持ち帰り互いに味わう。
造り手の人間像が浮き彫りになった味わい深い作品。


 2014年6月28日(土)
プログラムB

作品上映
10:00〜11:15
ゲストトーク
11:20〜12:00

『オイシサをつくる 〜発酵の魅力〜』
  1996年/33分/製作:桜映画社/脚本・演出:松川八洲雄/
  企画:雪印乳業株式会社(現・雪印メグミルク(株))/製作:村山英世
雪印乳業(現・雪印メグミルク?)の創立70周年記念作品として制作された。
有史以来、自然の微生物を利用し発酵作用でつくりだしてきた伝統的な食品は、
世界各地で風土と文化に支えられて独自に発展し、そのオイシサで土地土地に生きる民族を魅了してきた。
日本や中国、トルコ、ヨーロッパに取材し、発酵食品が風土や文化の中でどのような位置を占めてきたか自然がくれた最高の贈り物=おいしさをつくる発酵の魅力を探る。


『特別生乳はなぜ良いのか』
  1937年頃/10分/編集:原馨/撮影:荒川勝弥
戦前に東京郊外の西武新宿線花小金井駅そばにあつた近代的な牛乳工場「小児牛乳」の安全性と栄養を主婦向けに紹介したPR映画。
雑誌『栄養と料理』の昭和13年6月号に工場見学記があり、その頃の製作と思われる。いまやめったに見られない珍しく貴重な映像。


『チーズ 〜その魅力とロマン〜』
  1983年/29分/製作:電通映画社/企画:雪印乳業株式会社(現・雪印メグミルク(株))
雪印乳業(現・雪印メグミルク?)の創立50年記念作品として制作された作品。
ヨーロッパ各国各地のチーズとその由来を、丁寧に取材・収録した。
各地の気候と風土によって育まれる地域独特のチーズづくりの様子を、わかりやすい解説と共に旅情深く紹介する。


ゲストトーク:上浦真理さん(チーズ職人)
プログラムC

作品上映・ゲストトーク
12:40〜14:20

【記録映画の保存と活用を考える】

ゲスト:とちぎあきら さん(東京国立近代美術館フィルムセンター)
いまや紛失消散の危機にある貴重な記録映画の数々…。どこで、誰が、どのように管理・保存・活用していくのか。映画保存が抱える様々な課題、その解決策について、フィルムセンターに保存されている大分に関係した貴重で珍しい昔のフィルム映像を見ながら映画保存の専門家にお話を聞きます。

『アサヒホームグラフ ?71』
  1941年/製作:朝日新聞社/提供:朝日映画/後援:大政翼賛会宣傳部/9分/白黒/トーキー
朝日新聞社が1938年より43年まで製作していた年少者向けニュース映画(当初の名称は「アサヒコドモグラフ」)の一本。
当時の少国民育成に係る話題とともに、「下駄の出来るまで」のタイトルで、日田の下駄作りの様子が紹介されている。
元素材は、1967年から80年代まで行われた、アメリカ議会図書館が所蔵する戦前日本映画の返還事業により里帰りした大量のフィルムの一つで、戦前の子供ニュース映画として現存する最後の号になる。

『和田豊治翁 頌徳碑除幕式 昭和十六年三月廿二日 於中津市』
  1941年/製作:日本光音工業株式会社/12分/白黒/サイレント
『大正十二年四月十五日 於向島 和田豊治家園遊會』
  1923年/製作:日本活動寫眞株式會社/9分/染色/サイレント
中津出身の財界人・貴族院議員であった和田豊治(1861〜1924)の業績を記念する碑の建立と和田公園の開園を紹介する記録映画。
また、東京・向島にあった豪勢な邸宅(現在、静岡県小山町に「豊門会館」として移築されている)において生前開かれた宴の様子を、同じ向島に撮影所を構えていた映画会社・日活が撮った染色プリントを併映する。
元素材のフィルム(後者は可燃性フィルム)はともに、かつて和田が社長を務めた富士紡績より、2004年にフィルムセンターが受贈した。

『小鹿田(おんだ)焼 民藝を訪ねて』
  1957年/製作:西日本映画社/録音:西川発声映画研究所/提供:日本視覚教材/17分/白黒/トーキー
皿山を訪れた柳宗悦を思わせる人物の語りに通して、撮影当時の作陶の現場が克明に記録された一篇。
昨年の映画祭で上映した『美の哀史』の製作会社、西日本映画社がこれに先立ち完成させた作品で、小鹿田焼の映像記録としては、現存するなかで最も古いものと思われる。
元素材は、フィルムセンターが1972年に日本視聴覚教材協会より購入した16㎜プリント。

(なお特別上映として、戦前のアマチュア映画作家・飯田東吉が、レギュラー8㎜カメラで、一部カラーフィルムを用いながら、宇佐八幡や別府などへの旅行を記録した『九州』[1939年、26分、パートカラー、サイレント]も予定している。)

プログラムD

表彰式・作品上映

15:00〜17:00

【第7回 松川賞】受賞作品

『宮戸復興の記録 2011〜2013』
  2014年/58分
  構成・演出:飯塚俊男/制作:アムール/撮影:重枝昭典/撮影協力:遠藤協
  製作・著作:宮戸・野蒜地域の文化遺産の再生・活用検討実行委員会
 日本三景の一つ宮城県松島の中で最も大きな島、宮戸島。
島では国の重要無形民俗文化財に指定されている小正月の鳥追い行事「月浜のえんずのわり」が何百年と続けられてきていた。
 2011年3月11日、島は東日本大震災に見舞われ甚大な被害を被り、集落は失われたが、お互いに声をかけ合って避難し一人の死者を出す事無く高台に避難した。その後、集団での避難所生活が始まり集落の暮らしは一変した。
 映画は、文化庁の映像記録保存事業として記録撮影していた震災前の集落の様子や「えんずのわり」の記録から、震災後に集落がどのように復興していくのか、縄文時代の人々の知恵がいかに津波に対応していたかといった実証を加えながら、地域に密着した視点で丁寧に記録、取材した。


『調律師とピアニスト』
  2014年/60分
  監督・撮影・編集:上田謙太郎
  調律師:上野泰永/ピアニスト:内藤晃
 ピアノ調律師・上野泰永と、新進気鋭の若手ピアニスト・内藤晃。内藤の母校である東京外国語大学に、新しいホール「アゴラ・グローバル」が完成した。その開館に合わせ、新品のピアノ「YAMAHA S6B」が導入された。  新品のピアノが初めて調律され、演奏されるまでの2日間を見つめたドキュメンタリー。ホールに響く鍵盤を叩く音、美しくも複雑なピアノ内部、微妙で繊細な音を聞き分ける調律師の真剣な眼差し…。
 ナレーションを一切排して、淡々と撮り続けた映像の中にも、怪我を負った調律師とそれを心配するピアニストとの心の交流が優しく浮かびあがる。


プログラムE

作品上映
17:50〜19:40

ゲストトーク
19:40〜20:20

『ある精肉店のはなし』
  2013年/108分/監督:纐纈あや
  フ゜ロテ゛ューサー:本橋成一/撮影:大久保千津奈

いのちを食べて人は生きる。 「生」の本質を見続けてきた家族の記録。
大阪貝塚市で代々、家族経営で育てた牛を家族で食肉処理し、販売している精肉店を営む
一家を、温かなまなざしで見つめたドキュメンタリー。
7代目として家業を継いだ兄弟・家族4人は呼吸を合わせながら熟練の手つきで牛を解体し、
きれいに切り分けられて店頭に並ぶ、その見事な手さばき。
被差別部落出身者として理不尽な差別を受けながらも、牛の命と正面から向き合ってきた家族の姿が感動を呼ぶ。
監督は、原発開発計画に反対する山口県祝島の人々を描いて大きな反響を呼んだ「祝(ほうり)の島」の纐纈あや。の第2作。

ゲストトーク:纐纈 あや さん(監督)
   20:30〜 花の盛の懇親会
 2014年6月29日(日)
プログラムF

作品上映
10:00〜11:45
ゲストトーク
11:45〜12:20

【野村正昭さんと観るドキュメンタリー映画】
「ゆふいん文化・記録映画祭」の第一回立ち上げ時より、当映画祭コーディネーターとしてご協力いただいている映画評論家・野村正昭さん。
お薦め映画を観ながら、野村さんのドキュメンタリー論、文化・記録映画に対する想い等をお聞きします。

『時が乱吹く』
  1991年/64分/製作・監督:金井勝
“歌・句・詩”をテーマに幻想的な世界を、それぞれ三つのオムニバス
短歌篇「夢走る」、俳句篇「一本勝負のキリギリス」、詩篇「ジョーの詩が聴える」で描く実験的な映像詩歌。

『母たち』
  1967年/40分/製作:電通、工藤充/監督:松本俊夫
  撮影:鈴木達夫/詩:寺山修司/声:岸田今日子
日本の前衛的記録映画の第一人者であり、『薔薇の葬列』や『ドグラ・マグラ』などの名作を撮った鬼才・松本俊夫監督の実験映画集。
1967年2月から約40日間にわたって、ハーレム、戦火のベトナム、ガーナなど世界各地の母子を即興ふうに点描し、人種、風俗、歴史的、社会的条件などを、それぞれ異なった環境のもとにある4人の母親たちの姿を詩的タッチで描いた。
野村正昭さん曰く、「小生に決定的な影響を与えた一本」。


ゲストトーク:野村 正昭 さん(映画評論家)
プログラムG

作品上映
 13:00〜14:20
ゲストトーク
14:20〜15:00

『福島・生きものの記録 〜シリーズ1・被曝〜』
  2013年/76分/製作:群像舎/監督・脚本:岩崎雅典

東京電力福島第一原発事故はチェルノブイリと同じ“レベル”7。
拡散した大量の放射性物質は、生態系にどんな影響をもたらすのか。
福島の生きものたちに、いま何が起ころうとしているのか。
野生の生物はもとより、家畜やペット、被ばくした牛を見捨てられずに飼い続ける牧場主など、人間も含めその行方を追跡する。
監督は、長年にわたり野生生物の生態と環境の記録をテーマとしてきた群像舎の岩崎雅典。

ゲストトーク:岩崎 雅典 さん(監督)×池内 了さん(宇宙物理学者)
プログラムH

作品上映
15:30〜16:50

ゲストトーク
16:50〜17:30

『祭の馬』
  2013年/74分/製作:3JoMa Film、東風、ト゛キュメンタリーシ゛ャハ゜ン
  監督・撮影・編集:松林要樹

東日本大震災を生き延び、数奇な運命を歩む一頭の馬を優しいまなざしで見つめたドキュメンタリー。
4戦0勝、獲得賞金0円という成績しか出せずに引退した競走馬ミラーズクエスト。
福島県南相馬市で余生を送ることになるが、東日本大震災が発生。
津波からは奇跡的に生還するが、その時に負った傷が原因で生殖器が腫れ上がったまま、元に戻らなくなってしまう。
震災直後の福島県相馬から雪の北海道日高へ、そして神事“野馬追”が行われる夏の相馬へ。
旅するミラーズクエストに寄り添いながら、映画は、馬と人とが培ってきた長い歴史を繙きながら、とんでもない時代に生まれてしまったミラーズクエストの運命を可笑しく、優しくみつめる。
苦難を乗り越えてたくましく生きるミラーズクエストの姿に目を見張らされるが、放射能汚染のレッテルを貼られた馬の置かれた境遇が苦い余韻を残す。

ゲストトーク:寄田 勝彦さん(ホースインターフ゜リター)
      ×森まゆみ さん(作家)
プログラムI

作品上映
 18:10〜20:10


『オオカミの護符 〜里びとと山びとのあわいに〜』
  2008年/114分/監督:由井英 /製作: 小泉修吉、小倉美恵子

関東平野を取り囲む山々に綿々と受け継がれている、お山のお守り“オオカミの護符”の謎に迫るドキュメンタリー。
日本の人口が集中する関東平野を取り囲む山々、そこには自然を尊ぶ山岳信仰の素朴な生活がある。川崎市宮前区土橋の古い土蔵には「お犬さま」と呼ばれるオオカミが描かれた護符が配られ、貼られている。
映画は、地区に伝わる神事、土橋御嶽講(つちはしみたけこう)を巡り、武蔵御嶽山、調布市、埼玉県三芳町、そして秩父とオオカミの護符を求めて、謎めいた旅を繰り広げ、農民たちの暮らしぶりや自然を尊ぶ姿、“山びと”とオオカミの関わりに迫る。

ゲスト予定者

 ・ 上浦 真理さん(湯布院在住 チーズ職人)
 ・ とちぎあきら さん(東京国立近代美術館フィルムセンター)
 ・ 纐纈 あやさん(「ある精肉店のはなし」監督)
 ・ 野村 正昭さん(映画評論家)
 ・ 岩崎 雅典さん(「福島・生きものの記録」監督)
 ・ 池内 了 さん(宇宙物理学者)
 ・ 寄田 勝彦さん(ホースインターフ゜リター)
 ・ 松林 要樹さん(「祭の馬」監督)
 ・ 森 まゆみさん(作家)
 ・藤田 修平さん(京都産業芸術大学 准教授/「第1回松川賞」受賞者)
 ・山内 隆治さん(資料映像バンク) ほか。


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